研究課題/領域番号 |
62570091
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
須賀 俊郎 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70049758)
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研究分担者 |
田中 求 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70197482)
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キーワード | 延髄縫線核 / 循環調節 / 吻側腹外側延髄 / セロトニン作動系 / GABA作動系 / 微小電気泳動適用 / 5-HT_1受容体 / 5-HT_2受容体 |
研究概要 |
脳幹部縫線核群のニュ-ロンは中枢神経系のほぼ全領域に軸索を送り、運動、感覚、自律神経系を始め核機能の調節に関与するが、本年度は循環調節の機序を、主として、延髄における主要な循環中枢である吻側腹外側延髄のニュ-ロンについて検討した。猫の延髄縫線核刺激は、一部昇圧反応も認められたが、その主要な反応は降圧反応であったので、この機序を、特にセロトニンおよびGABA作動系について検討し、その受容体機構についても分析した。縫線核刺激は腎神経の抑制と共に降圧反応を惹起し、これは呼吸(横隔神経活動)抑制とほぼ平行したが、その境界部では両者に一部分離も認められた。坐骨神経求心性刺激による昇圧反応(体制交感神経反射)は、縫線核の同時刺激により抑制され、この抑制効果はピクロトキシンにより軽減され、GABA作動系の関与が示唆された。吻側腹外側延髄より導出された血管運動性ニュ-ロンの活動は、縫線核刺激により血圧下降と平行して抑制され、この抑制反応はビククリンおよび、5-HT、受容体拮抗作用の確認されているプロプラノロ-ルの静注あるいは微小電気泳動適用により軽減され、両者の併用では協力作用も認められ、両作動系の関与が強く示唆された。また同ニュ-ロンに対するセロトニンおよびGABAの微小電気泳動適用では用量依存性の抑制効果が認められ、これらはプロプラノロ-ル或いはビククリンの同時泳動適用により夫々拮抗された。ただセロトニンによる抑制効果はメチセルジド(5-HT_2拮抗薬)の同時適用により却って増強され、同ニュ-ロンに5-HT_1受容体と共に5-HT_2受容体の共存が示唆された。上述の縫線核刺激および、セロトニンおよびGABA系薬物の作用は、延髄の呼吸性ニュ-ロンを含む非血管運動性ニュ-ロンに対してもほぼ同様に認められ、縫線核より延髄ニュ-ロンに対する汎性抑制性制御が示唆された。
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