研究概要 |
1.脳内GABA neuronの蛍光法による免疫組織化学的検索:従来GABA抗体の作製が困難であったため、GABAの合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)をマーカーとして検索が行われてきた。今年度GABAに対する抗体が得られたことから、脳及び脊髄内GABAの局在と分布を免疫組織化学的に検索し、GABA合成酵素であるGADの局在と比較検討した。実験にはWistar系雄性ラットを用い、ウレタン麻酔下で脳及び脊髄を摘出し、4%パラホルムアルデヒド含有の0.1Mリン酸バッファーで12時間(4℃)で固定した後、クリオスタットで10μmの切片を作成し、500〜1,000倍希釈のGABA抗体(第1抗体)と湿箱中で37℃,60分間インキュベートした。反応終了後リン酸バッファー食塩水(PBS)中で10分間、1%Triton X-100 PBS中で10分間、さらにPBS中で10分間洗浄した。次に、500倍希釈のfluorescin isothiocyanate(FITC)と結合させた抗IgG(Sheep:第2抗体)と湿箱中で37℃,60分間インキュベートし、PBS中で10分毎に3回洗浄した後、グリセリン:PBS(1:1)で封入し、蛍光顕微鏡(Zeiss:励起波長495nm,蛍光波長520nm)で観察記録した。なお、GAD抗体についても同様の方法で組織標本を作成した。GABA neuronは、黄緑色のFITCの特異蛍光を発し、脊髄及び線条体ー黒質系において、GABAの局在を示す陽性細胞並びに陽性線雑が認められた。一方、GADの分布についてGABAの蛍光強度及び分布密度と比較した。 2.脳内GABAの生化学的測定:脳組織内GABAの測定は、マイクロウェーブ照射後直ちに脳組織を摘出し、ホモジネートした後、オルトフタールアルデヒドで反応させ、HPLCにより定量した。分離条件は、移動相にアセトニトリルと水の混合液を使用し、カラムはμ-Bondapack C18、検出器は蛍光分光光度計を使用し、好結果が得られた。
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