研究概要 |
(1)鶏H-蛋白遺伝子のクローン化と概略の構造決定:EMBL3入ファージをベクターとして使った鶏ゲノムDNAライブラリーから鶏H-蛋白cDNAをプローブとしてH-蛋白遺伝子DNAをクローン化し, cDNAの5'上流と3'下流の塩基配列と全体の制限酵素地図を決めた. 遺伝子発現を調節する機能はタンパク質の非コード領域にあるから, H-蛋白遺伝子については発現調節に関与する領域の決定が可能になった. また, 比較材料としてヒトH-蛋白遺伝子を得るため, そのcDNAをクローン化したので, 引続きヒトH-蛋白遺伝子のクローン化を行なう予定である. (2)鶏グリシン脱炭酸酵素cDNAのクローン化:発現ベクターを使って作製した鶏肝cDNAライブラリーから, 抗鶏グリシン脱炭酸酵素抗体をプローブとして上記cDNAをクローン化した. このcDNAの構造解析を行なったところ, 鶏グリシン脱炭酸酵素の部分的一次構造をコードしていることがわかったので, グリシン脱炭酸酵素cDNAとして同定できた. cDNAの長さは約2Kbであり, グリシン脱炭酸酵素mRNAの1/2をコードしていた. 現在, 全長のコードを持つcDNAを得る努力をしている. 一方, 同じ抗体を使いヒト肝cDNAライブラリーをスクリーニングし, ヒトグリシン脱炭酸酵素cDNAもクローン化した. 鶏とヒトのcDNAは塩基配列で約80%の相同性を示し, 非常によく似た蛋白をコードしていた. しかし, 両cDNA共理由は未だ不明であるが, mRNAの1/2の部分までしかコードを持たなかった. 鶏に関しては前述の実験に並行して, グリシン脱炭酸酵素遺伝子もクローン化し, 構造決定後H-蛋白遺伝子と比較しながら非コード部の役割を明らかにする. 一方, ヒトcDNAを使いヒトのグリシン脱炭酸酵素遺伝子もクローン化し, 高グリシン血症患者遺伝子の異常構造解析を行なう予定である.
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