研究課題/領域番号 |
62570104
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
市山 新 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)
|
研究分担者 |
船井 恒嘉 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70209146)
|
キーワード | セリン / ピルビン酸アミノ転移酵素(SPT) / ペルオキシゾーム / ミトコンドリア / グルカゴン / インスリン / 転写開始部位 / 同一遺伝子からの2種類のmRNA |
研究概要 |
ラット肝臓のセリン:ピルビン酸アミノ転移酵素(SPT)はミトコンドリアとペルオキシゾームに存在する。この2種類のオルガネラのSPTは非常によく似た性質を示すが、グルカゴン及びインスリンによりミトコンドリアのSPT(SPTm)のみが著しい誘導を受ける。SPTmの生合成については、我々は既に、約1900ヌクレオチドのmRNA(1900nt-mRNA)→SPTm前駆体蛋白質(45KDa-翻訳産物)→SPTm(43KDa)へのプロセシングを伴うミトコンドリアへの移行、という過程の概略を明らかにした。本研究においては、ペルオキシゾームのSPT(SPTp)の生合成過程の解明を志し、昨年度には、1900nt-mRNA、45KDa翻訳産物以外のSPT関連mRNA、翻訳産物としてそれぞれ検出されていた1700nt-mRNA、43KDa翻訳産物がいずれもSPTpの増加が認められる全ての条件で検出される主なmRNA、翻訳産物であることを明らかにした。本年度には以下の知見を得た。 1.1700nt-mRNAでは1900nt-mRNAの5'非翻訳領域からN末端延長ペプチドの途中までに相当する約70塩基の配列が欠けており、且つホルモン授与直後の1900nt-mRNAより3'ポリA末端が約100塩基短かい。 2.ゲノムDNAのSouthernブロット解析から、SPT遺伝子は一種類と推定された。この遺伝子クローンを単高し、11個のエキソンからなる全体の構成と重要部分の塩基配列を決定した。その結果、1900nt-mRNAと1700nt-mRNAの転写開始部位は同一エキソン(第一エキソン)に存在し、その上流域にTATAボックス及びこれに近接してCAATボックスが各1個存在することが明らかとなった。 3.43KDa翻訳産物をペルオキシゾームへ取り込ませようとしたinvitroの実験において、この産物はペルオキシゾームに付着するが中へは入らないという事態が生じた。現在、取り込み至適条件を検討中である。 4.SPTmのN末端アミノ酸配列がMet-Gly-Ser-His---と決定された。SPTmとSPTPは同一かあるいは一次構造も非常によく似た酵素らしい。
|