昨年度の研究では、ミクロソーム(Ms)のGlucose 6-phosphate酸化系(G6P-Ox)が酸化的ストレスの防御機構として機能していることを明らかにしたが今年度は、MsのG6P-OxとGlucose 6-phosphetase(G6Pase)の比較より、それぞれのG6P代謝系に特異的なG6P輸送体がカップルしていることを以下の結果より示した。 1.detergen+でMs膜障壁を破壊したhomogeneousな反応系では、G6P-OxとG6Paseが基質G6Pに対して競合するためG6P-Ox反応にlogが見られるが、Intact Msを用いた場合もしくはG6Pase活性を阻害した条件ではこのlogが消失する。 2.Intact Msで各々のG6P代謝系に基質G6Pを細胞質より供給している。G6P輸送体は、それぞれの輸送活性のdiamideに対する挙動の違いより区別できる。 以上の事実より、Intact Msでは、G6P-OxまたはG6Paseに密接に連結した別個のG6P輸送体が存在し、それぞれの代謝系に優先的にG6Pを供給している可能性が強く示唆された。G6P-Oxと特異的なG6P輸送体の複合体形成は、G6P-Ox系が酸化的ストレス時に初めて働きだすという事実とともに、この系の制御機構を考える上で重要である。
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