研究概要 |
ラットアルドラーゼCのcDNA(pRAC2-1)をプローブに用い, 85万個のファージライブラリーから2個のクローンを得た. 遺伝子上流800塩基, 下流約650塩基を含む約5000塩基対に及ぶ塩基配列を決定した. その結果遺伝子は3.5Kbで9個のエキソンから成ることがわかった. 遺伝子はハプロイドゲノム当り1コピーであった. 遺伝子の転写開始点をSIマッピングとプライマーエクステンション法により決定したところ, 三ケ所あることがわかった. プロモーター領域にはTATA配列やGCrich配列が見られた. 脳型(C型)の遺伝子なのでID配列の存在を確かめたところ, 5´上流約1Kbのところに方向は不明であるが, コンセンサスID配列と一塩基のみが異なる配列が見られた. 遺伝子の下流2.5Kbにも2個のID配列が認められた. 一方A型やB型の遺伝子の周辺には明確なID配列は認められなかった. 現在までA, B型遺伝子の解析を終了し, ここにC型遺伝子の構造がわかったので構造を比較したところ, コーディングエクソンはATGから同じ数のアミノ酸のところでイントロンがそれぞれ挿入されていることがわかった. このことはこれらアイソザイム遺伝子は一つの祖先遺伝子から派生したものであることを示唆した. 一方リーダーエクソンは各々のアイソザイム配列が異なり組織(臓器)の特異性に応じて配列が進化の過程で獲得されていることがわかった. 一方現在cDNAをプローブに用い脳の組織のIn Situ Hybridizationを行なっている. 予備的データではあるが, 脳型は脳全体で発現しているというよりも, ある特定の神経細胞で発現しているようである.
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