ノーザンブロッティングの結果アルドラーゼCmRNAは脳で特異的に発現していることがわかったので、脳の発育と発現変化の関係を明らかにするために各ステージの胎仔期を用いてドットスポット解析を行なった。サンプルは胎仔15日目、17日目、19日目、生後4日目、成体を用いた。その結果各時期の違いによる発現量の変化は認められなかった。コントロールとしてA型遺伝子も調べたが発生・分化過程での発現量の変化は認められなかった。ついで脳のどの組織で発現しているのかを明らかにするために脳の部分、脊髄神経などの切片をつくりin situ hyprizationを行なった。プローブとしてはCとAのそれぞれセンス、アンチセンスのリボプローブを作成した。調べた組織は大脳皮質、海馬、視床、小脳、脊髄などである。Cについて検討したところ、特に小脳のPurkinje細胞層に集中的に銀粒子が集まっていることがわかった。大脳皮質、海馬、視床では目立った変化はなかったが、脊髄の後根神経節や外側運動核の運動ニューロンには銀粒子がコントロールよりもやや優位に認められた。一方Aの方であるが集中的に銀粒子はみられないものの全体にわたってCよりも多くみられた。特にその中でも大脳皮質の内錐体層、海馬の錐体細胞層、脊髄の後根神経節、外側運動核などに銀粒子が比較的多く認められた。以上脳のin situ hybridizationで目立ったのはプルキンエ細胞でのCの顕著な発現であり、一方Aはこの細胞での発現は抑制されていた。
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