ラット肝、心筋、ブタ心筋などより、それぞれミトコンドリア粒子を分画し、各種可溶化剤で処理し、キャリヤー蛋白を抽出し、リポソームに組み込み活性を測定したところ、ブタ心筋がキャリヤー蛋白の抽出精製材料として最も適していることがわかった。心筋からのミトコンドリア粒子の分画精製法を確立した。ブタ心筋ミトコンドリア粒子をトリトンX1114で処理し、オキソグルタル酸-リンゴ酸キャリヤー蛋白を抽出し、ヒドロキシアパタイト及びイオン交換樹脂カラムを用いて部分精製した。部分精製物を、さらにSDS電気泳動法に供し、抗体作製を目的としてSDSゲルより切り出し抽出することにより純化したが、さらに必要十分量を得るため他の効率の良い精製法(アフィニティクロマトグラフィー)の検討を進めた。家兎にて抗体を作成し、イムノブロット法により抗体価の上昇を認めた。グルタミン酸-アスパラギン酸キャリヤーはオキソグルタル酸-リンゴ酸キャリアーに比べて安定性に劣り、ヒドロキシアパタイトHPLCやイオン交換樹脂を用いた精製法では、当初の目的を達成するために必要な量の精製物を得ることが出来なかった。現在使用しているC12E8より効率がよく、安定性も損なわない界面活性化剤の利用について検討した。グルタミン酸-アスパラギン酸キャリヤーの迅速な抽出分離のため、アフィニティクロマトグラフィーの導入をめざした。グルタミン酸あるいはアスパラギン酸を結合した担体を合成して、キャリヤー蛋白との結合条件を検討したが、特異的な結合は観察出来なかった。アフィニティ担体となりうる基質以外の構造類似物を、キャリヤー活性の阻害実験により検索したが、有効な化合物を発見できなかった。さらに検索を進めるために、より効率的な活性測定法の構築が必要となった。
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