研究概要 |
腎におけるプロスタグランジン(PG)の作用機構の分子的理解のため, 精製PGE受容体蛋白又は, 抗PGE受容体抗体を得ることを当面の目標としている. そこで, 当該年度は, 腎髄質細胞膜よりの受容体蛋白の可溶化, 部分精製及び抗受容体モノクローナル抗体作製に関する方法の確立を主に行なった. 受容体蛋白の精製に関しては, 膜分画よりの活性型受容体蛋白可溶化の検討により, ジギトニンによる可溶化が回収率, 再現性の面から最も優れていることが判明した. このジギトニン可溶化受容体は, ゲルろ過, イオン交換クロマト, 麦芽レクチンカラムクロマト及び等電点電気泳動法を連続的に組み合わせることにより, 約100倍の精製を数パーセントの回収率で得ることができる. しかし, これ以上の精製は, 可溶化蛋白の安定性の面からも技術的に困難であった. そこで, PGE_2を固定化することによるアフィンティクロマトを検討した. しかしながら, PGE_2は固定化に必要な化学的修飾によって, その受容体への結合性を失うことが判明し, この方法は断念した. 次に, 前述の部分精製受容体蛋白を抗原としてマウスに免疫することにより抗受容体モノクローナル抗体の作製を目指すこととした. そのため最も重要なスクリーニング法を検討した結果, ブドウ球菌体と培養液中の抗体との複合体を用いた可溶化PGE_2結合活性の免疫沈殿法が最も簡便で, 再現性もよいと思われるので, 現在この方法にてモノクローナル抗体作製を目指して実験を進めている.
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