1.前年度において、精製エステラーゼDをタンパク質分解酵素で切断後高速液体クロマトグラフィーでペプチドを分取し、そのうちの9個のペプチドについて、そのアミノ酸配列を決定した。 2.精製エステラーゼDに対するウサギ抗体を使って、ヒト胎盤λgt11cDNAライブラリーをスクリーニングし、cDNAクローンを1個得た。得られたcDNAの大きさは、約300塩基対で、その配列の中に、1.で得られたペプチドのアミノ酸配列を含んでいた。 3.さらに長いcDNAを含むクローンを入手すべく、ニトロセルロースを使って再度ヒト胎盤λgt11cDNAライブラリーをスクリーニングした所、約1200塩基対を含むcDNAクローンが得られた。 4.このλgt11クローンを増やし、cDNA部分を切り出し、puc9へサブクローン化し、多種類の制限酵素を使って制限酵素地図を作成した。また、ジデオキシ法にてcDNAの塩基配列を決定した。 5.得られたcDNAは、タンパク合成の開始コードンであるメチオニンを5^1-末端部分に持っていなかった。精製標品のアミノ酸分析値とSDS-PAGEによって決定した分子量から計算して、得られたcDNAは、N-末端部分の約10アミノ酸残基を欠いたものと推定された。 6.3.で得られたcDNA部分の5^1-末端側部分をプローブとして、再度ヒト胎盤λgt11cDNAライブラリーをスクリーニングし、最長のcDNAを含むクローンを探している。
|