研究概要 |
1.G6Pトランスロカーゼの精製について;現在までにラット肝ミクロソームをコール酸可溶加した後, SDS-PAGEで数本のバンドにまで精製をおこなった. G6PトランスロカーゼのSH基に特異的に結合するDIDS, およびSH基と結合して蛍光を発するmBBrを使う事により, SDS-PAGEでの本酵素の同定をおこなった. その結果, 分子量約6万の蛋白がG6Pトランスロカーゼである事を同定した. これを指標にさらに精製をすすめている. 2.G6Pアーゼの活性調節とグリコーゲン合成について;ラット肝をインスリン存在下で20mMグルコースで潅流してもグリコーゲンの蓄積はほとんど起こらない. しかし, 2mMフルクトースの添加によって, グリコーゲン合成酵素の活性加とともに, 大巾なグリコーゲンの蓄積の増大が認められた. この時, グリコーゲン合成量は合成酵素活性に比例し, 合成酵素活性はG6Pレベルに比例することが明らかとなった. 2mMフルクトースの添加によって肝細胞内に3〜5mMのFIPの蓄積が起ること, さらにこのFIPがG6Pアーゼを阻害すること(Ki=6.8mM)がフルクトース添加によるグリコーゲン合成促進の原因であると考えられた. in vivoにおいて肝でのG6Pチアーゼ活性を調節する機構が存在しなければならないが, 我々は血中に0.1mM程度存在する1.デオキシグルコース6-りん酸が飽食ラット肝で0.22μmol/g蓄積し, 絶食ラット肝ではほとんど存在しない事を明らかにした. 1・デオキシグルコース6・りん酸はG6Pチアーゼを桔抗的に阻害し, その阻害定数が0.6mMであるのでこのものがG6Pアーゼの活性調整をおこなっていることが強し示唆された.
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