研究概要 |
LECラットは生後3〜4ヵ月で突然重篤な黄疸を主症状とする肝炎を高率に発症し死亡する. さらに長期生存冷において肝癌の自然発症が高頻度で認められている. 本年度は薬物代謝系酵素のうちLECラットにおいて著明な変化が見られる酵素, シトクロムP-450, UDP-グルクロン酵転移酵素, グルタチオンS-転移酵素, γ-グルタミルトランスペプチダーゼ, スーパーオキサイドディスムターゼについて, それぞれのアイソザイムを分離精製し, それらのモノクローナル抗体を作製し, 肝炎や肝癌の初期発症過程におけるおのおののアイソザイムの変動パターンを免疫化学的に検索した. シトクムP-45Dのモノクローナル抗体は目下作製中であり, 本年度はとりあえず抗ウサギP-450抗体(ポリクローナル抗体)を用いてシトクロムP-450分子種の同定量化を行った. )4週齢のLECラット肝ミクロゾームのP-450量は, フェノバルビター誘導型P-450(P-450P, B), メチルコラントレン型P-450(P-448)とも対照群よりも減少していたが, 特にP-450P, B分子種の減少が顕著であった(対照群の33%). 言い換えれば, P-450全体に占めるP-448量比は相対的に増大していた. グルタチオンS-転移酵素については, GST1-1の発現が対照群より著しく抑制されていたが, 4週齢, 3ヵ月齢のLECラットにおいては, GST-pの発現は観察されなかった. 次に肝部分切除実験を施行して再生肝のP-450含有量を定量したところ対照群と比較して約5分の1に低下しており肝再生能の著しい低下が見られた. 来年度は, さらに他の酵素を加えて検討し, Solt-Farberのモデルを用いて肝炎の発症を促進すする外的因子を検索する計画である.
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