研究概要 |
本年度は術後紅皮症9症例について, その病変部に浸潤するリンパ球のサブセットおよびHLA型をしらべた. 病変部に浸潤するリンパ球は, サブセットの上ではT8に属するものが大半であることを認めた. 光顕的にこの浸潤リンパ球は真皮上層から上皮にかけて分布しているのであり, この免疫学的な, T8が主であるという所見および光顕所見は真のGVHDと区別のつかない, 同一とも言いうる所見であることを確認した. 以上の確認は9症例中7症例において言えることで, 残り2例の変化はGVHDとは異る非特異的なものであった. 表皮内に存在する抗原提示細胞であるLangerhans細胞についても同様の検索を行った. Langerhans細胞は9例中8例に認められなかった. このこともGVHD変化と同一のものであった. 一方これらリンパ球のHLA型を調べたところ, 我々のもちいたHLA型特異抗体による免疫組織学的同定という方法論では宿主と異るHLAをもつものは認められなかった. この点に関しては方法論的になお問題があり, 型特異抗体をふやすこと, 技術の精度を増すことなどさらに検索を深めることが必要であると考えられる. 以上を要約して, 本年度の検索は輸血後紅皮症が真のGVHDであることを強く示唆する所見をえたが, 確定するにはいたらなかった.
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