本年は新たに得られた輸血後紅皮症5例について前年と同様の検索、すなわち病変部に分布するリンパ球の性格ずけについて検索をすすめるとともに、新たにこれら病変部における組織球糸細胞の特性についても検索した。同時に真の移植片対宿主反応を示す皮膚10例を得、この病変部を構成する諸細胞の性格づけをも行った。すべて単クローン抗体および多クローン抗体による免疫組織学的手技によって検索した。 結果として輸血後紅皮症における病変部リンパ球の性質は昨年度の報告をうらずけるものであった。すなわちT8に属するリンパ球が大半であり、移植片対宿主反応における病変とほとんど変わらなかった。 移植片対宿主反応の皮膚については、T8陽性リンパ球が主であることを知ったがこれ以外に(1)マクロファージの関与が非常に高いこと、(2)Natural killer細胞はほとんど出現しないこと、(3)上皮にDQ、DR抗原の発現がつよいこと、などの所見をえた。 以上、我々が輸血後紅皮症および移植片対宿主反応の皮膚の解析から得た結果は、前者が後者と同一の疾患であることを強く示唆するものである。しかしこれは決定的な確証であると断言することには多少難点がある。今回の方法ではしかし今得ることのできる最大限のものを得ていると考えられ、さらに深い解明には新しい方法の開発が必要である。
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