研究概要 |
1.症例の収集:AILD31例, AIDS及びKaposi肉腫のリンパ節9例, IPLのリンパ節3例について すでに新鮮生検材料の収集を行い, 部分的には検索を終了し, 残りはディープフリーザー中に凍結保存中である. これらの症例については引き続き収集保存を続ける予定である. 2.AILDパラフィン材料31例, 凍結新鮮材料10例について各種モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的検討を行った. ポリクローナルな高γグロブリン血症は全症例の70%において認められ, 多クローン性B細胞活性化が存在することが示唆されたが, 免疫組織化学的に一見びまん性を呈するAILD病変は圧倒的多数のT細胞と島状に散在するポリクローナルB細胞から構成されていることが証明された. ついで凍結切片についてCD1, CD4とPC, Bl又はL26とPCとの二重染色により, T細胞とB細胞の両方が同時に増殖していることが明らかとなった. DRC, CRI, CR2抗体による単独染色およびこれらの抗体とDC, CD4又はCD20との二重染色により, B細胞増殖巣中には正常の網目状構造を形成しないが樹枝状細網細胞(FDC)が存在すること, B細胞の活性化と増殖はこの部位で生じていることが明らかとなった. またAILO病変の組織学的解析により50%の症例で微小なKaposi肉腫様病変が出現することを発見し, 各種検討の結果, この病変中の紡錘形細胞は5′-nucleohidase(+), DRC(+), CR2(+), 電顕的にデスモソーム(+)であり, FDCの増殖巣であることを解明できた. 3.以上の成果は昭和62年春の日本血液学会シンポジウムで発表し, 高い関心を集め, Acta Haematol Jpn.誌に英文で発表した. AILDにおける多クローン性B細胞増殖症にFDCが深く関与していること, FDC増殖巣が形態的にKaposi肉腫に類似していることから, AIDSの病理発生及びKaposi肉腫の母細胞としてFDCが関与していることが示唆され, 予備的検索を行ったところ有望な所見をえ, 昭和63春病理学会で発表を予定.
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