研究概要 |
糸球体硬化はヒト腎炎, 実験腎炎を問わず, 慢性化の終局的な所見である. 硬化はボーマン嚢と糸球体係蹄の癒着, 基底膜の肥厚, メサンギウム基質の増加が糸球体の一部から発生する. そこには細胞外物質の増加がある. 硬化部に増加する細胞外物質を包埋後免疫電顕法と糸球体細胞の培養細胞が作るプロテオグリカンの生化学的分析を行った. 包埋後電顕法は次の3つである. 1.抗腎抗体静注後1w以内, 4wの糸球体をIVユラゲン, ラミニン, 抗ウサギI_gG, 抗ラットC_3, C_<1q>, 抗体ラットI_gGを調べた. その結果, ラミニンは基底膜全層に分布するが, 抗ラットC_3, C_<1q>は基底膜の内側半分にのみ局在していた. すなわち, 抗腎抗体による腎炎初期には障害は血管腔に近いところから起こる. 慢性化した肥厚基底膜はラミニン, 抗基底膜抗体と反応する. すなわち, 正常構〓要素が増加している. 2.IC型腎炎で沈着した免疫複合体は抗原, 抗体, 補体が証明され, IVコラゲン, ラミニン, 抗基底膜抗体とは反応しない. すなわち, 免疫複合体は空間的に場所を, 居することがわかった. 基底膜の肥厚はIVコラゲンを含まず, ラミニン, 抗基底膜抗体と反応する. すなわち, 正常の基底膜要素が増加する. 3.癒着は糸球体細胞の腫大, どん食, 空胞化, 変性を経て, 脱落する. そして基底膜は裸となる. ボーマン嚢上皮は腫大し, 空胞化し, 裸となった基底膜を覆う. そして陰性荷電に富む細胞外物質を大量に作る. IVコラゲン, ラミニンが証明される. すなわち, ボーマン嚢との間に繊維性連絡が完成する. 糸球体培養では, ^<35>Sサァルフェイト, ^3Hグルコサミンの取りこみから 4.メサンギウム細胞は高度に硫酸化されたコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを主に合成していることがわかった.
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