研究概要 |
近交系ラットであるFisher 344およびLewisを用いて, 同ラットの胸線細胞および脾細胞のHTLV-Iによるトランスホーマントである4細胞株(FIRS-I FIRT-I,LERS-I,LERT-I)に対する免疫反応を種々の角度から検討した. 細胞性免疫の面ではキラー細胞の誘導を試みた. すなわち, 同系ラットのHTLV-I関連細胞株で免疫し, 2週間後に脾細胞をin vitroに移してマイトマイシンC処理した同一細胞と4日ないし5日間混合培養した. 再刺激後51Crでラベルした標的細胞との51Cr細胞障害試験を行い, 現在までに4つの細胞株中3つに15-25%のキラー活性が示されている. この活性は抗Thy 1でエフェクター細胞を処理することで失われることから, エフェクター細胞の主体は細胞障害性T細胞であると考えられる. また活性のピークは反応後12-16時間後であった. 細胞障害活性はFisher 344とLewisの間で交叉するデータが得られているが, MHC restrictionの点に関しては現在用いる細胞種が限られているので, さらに異ったMHCを有するラット細胞についてトランスホーマントを確立すべく実験中である. 尚, 現在インダクション相のほかエフェクター相についても研究解析中である. 液性免疫の面では, 現在までに特記すべき陽性結果は得られていない. 今後はさらに特異的細胞障害性T細胞のクローンを樹立し, クローンの抗原レセプターの構造を解明する予定である.
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