アミロイドA(AA)蛋白が沈着するAAアミロイドーシスの発症過程を免疫組織化学的に検索するため、AAの前駆蛋白である血清アミロイドA(SAA)蛋白のみに反応する抗体を作製した。すなわちSAAのN末端から78-136残基のペプチド(AAにはない)を合成し、これに対してモノクローナル抗体を作製した。この抗体はELISAによる検索で、AAとは反応せず、SAAとのみ反応した。次いでアミロイドーシス惹起処理后のマウスを経時的に屠殺し、各種の臓器を免疫組織科学的に検索した結果、肝細胞内に抗体と反応する陽性物質を認め、SAAは肝細胞が産生することが免疫組織化学的にも確認できた。肝細胞以外では腎の尿細管上皮に抗体と陽性に反応した物質を認めた。この所見から比較的低分子のSAAは糸球体を通過し、尿細管上皮で再吸収され、異化されると考えられた。実験的アミロイドーシスでアミロイドが最初に沈着する脾の周辺帯では、全経過を通じて抗体と陽性に反応する物質は認めなかった。これは、SAAが周辺帯に停滞する以前にN末端の78-136残基の部が既に消失していたのか、或いはSAAのこの領域は抗原性が弱く免疫組織化学的な検出が困難であるのかもしれない。 AAアミロイドーシスの発症には、アミロイド促進因子(AEF)が重要な因子の一つである。脾から抽出したAEFで家兎を免疫して抗AEF血清を作製した。抗AEF血清を用いた免疫組織化学的検索によりAEFは正常マウスにも微量に存在するがアミロイドーシス惹起注射后抗AEF血清と強陽性に班のする好中球が、造血巣内および末梢血中に著しく増加した。このことからAEFは好中球が産生すると思われた。
|