1.マンソン裂頭条虫プレロセルコイドの虫体防御に関する宿主-寄生虫相互関係:プレロセルコイドを0.1%ペプシン、0.7%塩酸、1%NaCl、人工胃液の各培地で培養し24時間まで観察した。0.7%塩酸、1%NaCl、人工胃液において虫体は頭部のみ隔解することなく生存した。これらの結果プレロセルコイドの頭部に局在した虫体防御機構の存在を示す。実験的中間宿主に感染させたプレロセルコイドは頚部以下を離断し頭部のみが感染後30分から2時間の間に腹腔に移行する。腹腔に移行した虫体表面には宿主の腹腔細胞が集塊をなして付着する。これら細胞は3時間後には隔解している状態が走査電顕の観察で明らかにされた。付着した外皮の微小毛は腹腔細胞の細胞質に救われるが微小毛形質膜は正常であった。これらの結果かは酸がトリッガーとなって何らかの防御機構が働き細胞を隔解する物質が微小毛から放出することを推察させた。 堀田裂頭条虫プレロセルコイドの実験的終宿主ゴールデンハムスターへの感染初期外皮の変化についての秀過電顕的観察:すでに走査電顕において実験宿主感染後3時間後外皮の微小毛が脱落することを明らかにしてきたが、今回の透過電顕による観察の結果次のことが明らかになった。1)プレロセルコイドの微小毛はフィラメント型、コノイド型、デジチ型の3つのタイプに分類されること 2)感染初期脱落する微小毛はフィラメントの型微小毛のみによること 3)これら脱落微小毛はそのtipは管腔構造を成し、その横断像から内腔に小管構造がみられること など明らかにされた。
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