研究概要 |
マラリア原虫(Plasmodium falcieparum)はFCRー3株(群馬大)、FUP株(大阪大)から分与され、FCOー1株はインドネシア由来株として樹立する事が出来た。これらはCO_2倍養に適応させたため操作が容易になった。FCRー3株に対しPyrimethamine,methotrexate,Trimethoprimなどについて低濃度から順次Pressureをかけて倍養し、それぞれ6×10^<-8>M、2×10^<-7>M、4×10^<-7>M辺に至ったが、倍養継続に困難が発生した。 薬剤耐性に関連して遺伝子増巾があるか否か検査するためパルスフィールド電気泳動装置(OFAGE)を製作し巨大DNAの分析を行った。倍養マラリア原虫各株のクロモソームにつき検討したが、遺伝子増巾を思わせる所見を得るに至らなかった。 マラリア原虫の薬剤感受性を検討する方法について検討した。倍養液に薬剤を添加して原虫を倍養し生育阻害をみる方法で成績を得たが、3ー4日を要し、原虫を顕微鏡で算定する手間が大きいので新しい方法を開発した。抗BrdU抗体を利用する酵素抗体法により原虫のBrdU取り込みを測定する事により短時間で成績が得られる方法を樹立し報告した。この方法でスアトラの患者について実行し、野外において実用性を確認した。 Pyrimethamineの薬剤耐性はマラリア原虫のジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の遺伝子の点変異によるという所見が外国から提出された。そこで点変異の在在の有無を検出する遺伝子診断の方法について検討を開始した。原虫のゲノムDNAを抽出し、21bp繰り返し配列の合成Probeや、ジヒドロ葉酵還元酵素とチミジル酸合成酵素(TS)のjunction配列などを用いてマラリア原虫と共に薬剤耐性を検出する方法の基礎条件を検討している。
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