研究概要 |
吸血蚊より採取したヒト血球をプロテアーゼ処理した後, 1.グアニジンーHCl, 2.フェノールクロロホルム, 3.ホルムアミドーLiClの方法によってDNAを抽出, 精製した. 各試料をブロッテング, 80°Cベーキングすることによってニトロセルロース膜またはナイロン系膜に吸着, 固定させた. DNAプルーブとして1.ヒトKpn-1断片(1.7kb) 2.ヒトε_1遺伝子(2.7kb) 3.ヒトε_1遺伝子Acc-1断片(0.5kb)をビオチン標識したものを使用した. これらのプルーブはいずれも, ドットハイブリダイゼーション法によってヒト血球由来DNAをngのオーダーで検知することが可能であった. ヒトとそれ以外の動物種のDNAを区別する目的でヒト, イヌ, ウサギ, マウスの血球DNAを試料として上記ハイブリダイゼーションを行なった. Kpn-1DNA及びε_1.7kbプルーブを用いた場合ヒトDNAと動物DNAを区別することができない. ε_10.5kbプルーブを使用した場合, 反応の強弱(発色の程度)を指標として両者を識別することができる. 現在種々のストリンジェンジーの条件下での反応および反応混液の改良を試みている. 吸血後長期間を経て劣化している試料及び乾燥血液から抽出したDNAについてこの検知方法の有効性を検討した. 乾燥血液からのDNAであれば2年以上経過している試料から抽出されたものでも充分反応性が認められることが判明した.
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