研究概要 |
ヌードマウス由来のニューモシスチス・カリニ(Pc)に対するモノクローナル抗体(Mab)1E12-8と1E12-11は共にsubclass IgG1で, 間接螢光抗体法(IFA)で虫体のpellicleに特異的に反応し, 低pH処理した同種抗原(homogenate,cyst)に対し高い抗体価を有していた. さらに酵素抗体法においても確められた. 1E12-8を用いたウエスターン・ブロッティングによりヌードマウスpc肺homogenate中のpc抗原約13万ダルトンを認識していた. cystとは反応が弱いか殆んどみられなかった. IFAでこれらMabはラット由来のpcとは共通に反応したが, ヒトのpcとはほとんど反応しなかった. ラット由来のpc cystを用いて得たMabはIFAで同種抗原とは強く反応したが, ヌードマウス, ヒトそれとは反応が弱かった. 又, ヒト由来のpc cystを用いて得たMabもIFAで同様の結果を示した. さらに各種抗原で免疫したマウスのポリクローナル抗体(Pab)もほぼ同様に, 同種抗原に対しては強く反応したが, 異種抗原に対しては反応は弱いか殆ど反応しなかった. ヌードマウス, ラット, ヒトのpc感染肺のホルマリン固定包埋切片を用いた酵素抗体法では, 各Mabは同種抗原に対し強く反応したが, 異種抗原に対しては弱いが又は反応がみられなかった. peroxidese anti-peroxidese(PAP)法ではbackgroundが強いのに比し, 反応は弱いかみられず, 今後さらに検討が必要と思われた. 次にラットpc感染肺よりcystをシスト純化法又はpercollで集収し, 超音波破壊し, 家兎に免疫して得たPabはIFAで非常に高い抗体価を有し, 正常ラット肺, 肝で吸収捜査の結果pcに特異的であるとわかった. 各種肺homogenate, cyst並びにホルマリン固定した各種切片中のpcとPAP法により強い反応が認められた. これらの結果は, pcの種又は抗原性の違いの問題, 診断法の開発等に有用な示唆を与えていると考えられ今後血中の循環抗原の検出に良い結果を導くと考える.
|