研究概要 |
昭和62年度, われわれはこれまでに作成していた22種類のHRVに対する中和単クロン抗体(N-mAb)の反応特異性を中和反応およびELISA法で検討し, 15種の血清型特異N-mAb(1型:5種, 2型:7, 3型:2, 4型:1)と7種のcross-reactive N-mAbを判別した. これらN-mAbの蛋白特異性を遺伝子組換体ウイルスあるいは免疫沈降法を用いて検討した結果, 血清型特異抗原は大部分VP7, 一部VP3上に, またcross-reactive抗原は大部分VP3, 一部VP7上に存在することが判明した. そこで次に, これら抗原の構造解析を行うために各N-mAbに対する抵抗性変異株を作成し, 交叉中和試験を行うと共に, Primerextension法によりこれら抵抗性変異株のVP3およびVP7蛋白コードRNAの全塩基配列を決定し, 抵抗性の変異に基くアミノ酸の置換部位を検討した. その結果VP7上の血清型1特異的中和エピトープは少なくとも5種類存在し, それらは互いに重なり合い1つの大きな抗原部位を形成していること, これらエピトープはアミノ酸配列で90番代, 210番代の2つの抗原部位に配置し, これらは立体構造上互いに近接していることが示唆された. 一方, 抵抗性変異株の交叉中和試験の結果からVP3上のcross-reactiveな中和エピトープは少なくとも3種類独立して存在することが示唆されたが, これは抵抗性変異株の塩基配列の結果から予想されるアミノ酸解析の結果とも一致した(この部分現在論文作成中).
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