研究概要 |
リンパ球のFcξリセプター(FcεRII/D23)の一部が可溶性FcεRII/CD23として遊離し, IgE産生の調節に関与している可能性が示唆されている. また可溶性CD23がB細胞増殖活性をもつという報告もされている. この可溶性FcεRII/CD23の機能を解析するため, リコンビナント分子の作製を行い, 機能の解析を試みた. まずリコンビナント可溶性FcεRII/D23を得る目的で, いくつかのリコンビサント遺伝子を作製し, Xenopus oocuteを用いた発現系で検討した. その結果, 可溶性FcξRIIをコードする部分にBSF-2のシグナル配列を結合させたリコンビナント遺伝子(psFcξR-1)を用いた場合にのみ, ooute上清中に分子量23-27kdの可溶性FcξRIIの産生が認められた. 次にこのリコンビナント分子のIgE結合能を抗FcξRII抗体(3-5)とIgEを用いたELISAで解析したところ, psFcξR-1産物は, RPMI8866細胞由来の可溶性FcξRIIと同程度にIgEに結合することが明らかとなった. またリコンビナントFcξRIIをシアリダーゼ処理したところ分子両は21kdに減少した. 可溶性FcξRIIはN結合型糖鎖結合部位をもたないことから, O結合型糖鎖を有すると考えられた. 作製したりコンビナント可溶性FcξRII/CD23について, まずFcξRII陽性好酸球株EoL-3へのIgEの結合を阻害し得るか否か検討したところ, 約50%の抑制を認めた. また抹消血より得たマクロファージをBSF-1/IL-4で活性化しFcξRIIを発現させ, リコンビナント可溶性FcξRIIの存在あるいは非存在下にIgeで刺激し, NBTテストを行ったところ, マクロファージの機能はリコンビナント分子の存在下に50%の低下を認めた. 今後さらにリコンビサント可溶性FcεRII/CD23の生物学的活性について検討を進める予定である.
|