可溶性FcεレセプターII(FcεRII)がIgEの中和を通じて即時型アレルギー反応のエフェクターフェイズの制御に関与していることが推測されている。我々はこの可能性を明らかにする為、リコンビナント可溶性FcεIIを用いて解析を行った。可溶性FcεRIIはFcεRIIを発現する好酸球株EoLー3や、マクロファージ株U937へのIgEの結合を用量依存的に抑制した。また正常マクロファージをILー4で活性化後、IgE刺激によるO^2^-産生をNitro blue tetrazolium(NBT)テストで検出したところ、可溶性FcεRII 50μg/mlによりその産生は70〜80%抑制された。これらの結果は可溶性FcεRIIはFcεRIIを発現する活性化好酸球やマクロファージへのIgEの結合やIgE抗体を介するそれら細胞からの炎症因子の産生を阻害し得ることを示す。 次に可溶性FcεRIIがFcεRI発現細胞へのIgEの結合を阻害し得るか、末梢血より好塩基球を得て検討した。好塩基球のIgEロゼット形成は、可溶性FcεRIIにより競合的に阻害を受け250μg/mlでは70%の抑制を認めた。さらに^<125>I標識IgEを用いてその結合の抑制を検討した。2μg/mlのIgEの結合は600μg/mlの可溶性FcεRIIの存在下に75%の抑制を受けた。以上の結果は可溶性FcεRIIはFcεRIIのみならずFcεRIへのIgEの結合を阻害し得ることを示唆する。さらに可溶性FcεRIIは、IgE抗体で感作された好塩基球からの抗原刺激によるヒスタミン遊離も抑制することを示唆する知見も得られている。今後さらにPーKテスト等を利用したin vivoにおける検討が必要と考えられる。
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