研究概要 |
1.マウスB151K12T細胞融合株の蛋白非添加RPMI1640培地での培養上清を、20ー50%硫安分画後、DEAE-Sophadex A-50イオン交換カラムクロマトグラフィーにかけ、得られた活性画分を更にGlcNAc重合体であるchitinカラムにapplyし、吸着画分に比活性約2,000倍の自己抗体産生を伴う多クローン性B細胞分化を誘導するB151ーTRF2標品を回収できた。^<125>I標識B151ーTRF2標品を用いた結合実験により、機能的解析の結果に一致してB151ーTRF2分子上には糖鎖が検出されない事、及びB151ーIRF2はB細胞上の末端GlcNAc残基を介して結合する事が示された。又、^<125>I標識B151ーTRF2標品は自己免疫NZBマウスB細胞に対して、正常B細胞と比して約3倍の結合性を示した。2.末端GlcNAc鎖に特異的な単クローン性抗体J1を用いた解析で、B151ーTRF2応答性はJ1陽性B細胞亜集団により担われている事が示された。更に、SDS可溶化膜画分を^<125>I標識J1抗体を用いたWestern bloting法で解析した所、約25K、30K、40K、及び60Kのバンドが検出された。これらの糖蛋白のいづれかがB151ーTRF2受容体分子である可能性が強く示唆される。3.部分精製B151ーTRF2標品をラットに免疫して確立されたB細胞融合株の中からB151ーTRF2活性の発現を特異的に阻害する抗体を産生する5ー6ー9株を選別した。精製5ー6ー9抗体(IgM画分)でcoatした24穴プレートを用いた吸収実験により、B151ーTRF2活性が特異的に吸収される事が明らかにされた。4.B151ーTRF2による自己抗体産生応答の免疫遺伝学的解析により、抗ブロメライン処理自己赤血球(BrMRBC)抗体産生は、Hー2複合体内のI領域遺伝子により調節されていることが明らかとなった。更に興味ある事に、B細胞の示す自己Ia認識特異性がBrMRBC特異的B細胞クローンの生成と密接に関連している事が示された。この結果はB細胞の示す自己Ia認識特異性が免疫グロブリンレパートリー形成に深い関わりを持つというB細胞免疫応答の全く新しい遺伝子支配機構の存在を示すものである。
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