研究概要 |
昨年度クローラングしたマウスCD8(LYT-3)CDNAをプローブとしてマウス染色体遺伝子ライブラリー(B10.Aマウス由来, LYT-3.2のアレルを持つ)をスクリーニングし, LYT-3をコードするゲノム遺伝子を単離した. この遺伝子のDNA塩基配列を決定してCDNAの, 塩基配列と比較することによりLYT-3をコードする遺伝子が, 1)リーダー部, 2)免疫グロブリンV領域ならびにJ領域様の構造を持つ部分, 3)ヒンジ様部, 4)膜通過部, 5)二つの細胞実質内部をコードするエクソンの合計6個のエクソンより構成されていることを明らかにした. LYT-3はV領域ならびにJ領域様の構造を持つことから免疫グロブリン多重遺伝子族のメンバーであると考えられるが, ゲノム遺伝子上でVとJ領域様の部分が同一のエクソン上にあるという事実は免疫グロブリン祖先遺伝子にはVとJの間には介在配列は存在せず, その後に起こったトランスポゾン様DNA断片の挿入を回復するかたちで, 免疫グロブリンやT細胞レセプターで見られるような遺伝子再構成が始まった可能性を示唆する重要な所見である. 同様にAKRマウスよりゲノムセイブラリーを作成し, LYT-3, 1遺伝子もクローニングcDNA塩基配列を決定してLYT-3, 2と比較し77番のArgがSerに置換されていることを明らかにした. またLYT-2, LYT-3, 免疫グロブリンK軽鎖の遺伝子は6番染色体上で連鎖していることが知られている. スタンフォード大学のG.Chuより彼らが開発した最も新しいタイプのPulse Field Gelの設計図を入手し作製した. 現在この装置を使って三者の染色体上での距離を測定中である. また今までは存在しないと考えられていたヒトのLYT-3相同分子をコードするCDNAならびにCD8と同様にT細胞に特異的に発現されるCD2遺伝子をコードするcDNAも単離しその構造を明らかにした.
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