研究概要 |
新潟県の胆道癌(胆嚢及び胆管癌)死亡率は男女とも全国最高である. さらに, 我が国の死亡率が世界第1位(男性)であることから, 新潟県は世界有数の胆道癌多発地帯と考えられる. 我々は胆道癌死亡が「米どころ」に多いことに気づき, 疫学的研究を開始するに至った. 米づくりとの関連で農薬にまず注目して検討を行った. 都道府県別農薬出荷量(昭和37〜50年)を都道府県面積で除した値(環境汚染度)と胆道癌標準化死亡比(昭和50年)との単相関及び順位相関分析を行ったところ, 約300種の農薬のうち, フェノキシ系除草剤MCPA-E(2-methyl-4-chlorophenoxy acetic acid ethylester)とMCPB-E(2-methyl-4-chlorophonoxybutyric acid ethylester)が正の相関関係を示した. そこで, MCPAとMCPBの毒性および発癌性に関する検討を行った. 1.MCPA, MCPBの亜急性毒性研究 (1)材料及び方法 生后4〜5週令ICR雄マウスにMCPA-E50, 100, 200mg/kg, MCPB-E25, 50, 100mg/kgを6週間及び12週間経口投与した. 対照として無処理群, 溶媒(コーンオイル)対照群の2群を設けた. なお動物は1群10匹用いた. 投与終了後, 血清TC, TG, GOT, GPT検査及び主要臓器の組織検査を行った. (2)結果 TCはMCPA-E 6週, 50mg/kg群で無処理対照に比べ高値, TGは減少傾向を示した. MCPA-E 6週, 50, 200mg/kg群のGOTは低下, 12週50mg/kg群のGPTは上昇を示した. MCPB-E投与群は対照群と差を認めなかった. 臓器重量変化として, MCPA-E 6週, 100, 200mg/kgで肝相対重量の増加を認めた. 肝臓の病理組織学的所見として, 肝細胞の大小不同化と中心性壊死を認めた. 2.MCPAの発癌性に関する検討 (1)材料及び方法 ICR雄マウスを用いた. MCPAをコーンオイルに溶解, 0, 40, 200, 1000, 5000ppmのエサを作成し, 現在投与中.
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