昭和62年、63年の2ヶ年にわたって、生体試科中半導体金属類の原子吸光分析法について加えたが、無炎原子吸光法による測定では湿式灰化液を直接装置に導入する場合、燃焼点などの影響もあって、分析条件を確立するまでにはいたっていない。とくに、テルル、セレンなど低波長領域に共鳴線を持つ金属類にその影響が大きい。 血液、尿、毛髪、いずれの場合もさらに検討の余地があり、分析条件を決定するには、有機溶媒抽出などの前処理がさらに必要のようである。 テルルの標準液については、硫酸酸性下、ヨウ化カリウム添加、3mlMIBK抽出後にその10ulを無炎原子吸光法で分析する条件を確立することができた。しかし、サンプル量はどうしても多くなるため、問題は残る。 還元気化原子吸光法によるこれら金属の定量は、可能である。 生体試科を湿式灰化して定容量とした後、試科液について水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸存在下で還元気化し、アセチレンフレーム上に設置した石英セルに導入するが、テルル、セレン、アンチモン、ひ素の測定が可能となる。ただし、問題はサンプル使用量が多いことで、少なくともペリスタルポンプに改良の余地があると考える。 63年度に実施した毛髪中テルルおよびセレンの測定結果では、テルルの量はほとんど検出されないレベルであった。
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