研究課題/領域番号 |
62570250
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
岸 玲子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80112449)
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研究分担者 |
丸山 知子 札幌医科大学, 衛生短期大学部・看護学科, 教授 (80165951)
三宅 浩次 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045363)
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キーワード | Childhoodneoplasm / Leukemia / Neuroplastoma / Etiology / Paretal Occupation / Home exposure / Occupational exposure / Case-Control Study |
研究概要 |
小児の悪性腫瘍のリスク要因の1つとして患児の両親の受精前から出生までの職業的な有害物質暴露歴、磁場、電離放射線などへの被暴歴に注目し、小児がん登録を基礎としたケ-ス・コントロ-ル研究を行うことを目的として研究を開始した。まず諸外国でこれまで発表された疫学的研究を文献的に考察し総説としてまとめた。ついで両親の職場および家庭での化学暴露歴や電離放射線被暴歴を詳細に検討するための調査票を作成し、国立札幌病院、札幌医科大学など北海道の主要な病院において小児がん患者の両親ならびに、患者と性、年令でマッチさせたコントロ-ル群の両親(Hospital control,Population control)に対し症例対照研究を行った。現在までに白血病130例、神経芽細胞腫46例、悪性リンパ腫23例、その他76例の症例を収集したが、そのうち対照群(地域コントロ-ル:性、年令、同一保健所管内)とマッチした白血病74対、神経芽細胞腫31対の結果を以下に記す。白血病では高いオッズ比が得られたのは、妊娠中における母の飲酒(OR3.3)、ペットの飼育(出生から発病時OR2.8、妊娠中OR2.5)、妊娠中のヘア-スプレ-の使用(OR2.8)、分娩時における臍帯巻絡(OR2.2)であった。低いオッズ比を示したのは、分娩時の微弱陣痛(OR0.31)であった。神経芽細胞腫(31対)では、農薬散布(母妊娠中)、ペット有り(妊娠中)であった。逆に低いオッズ比を得たのは、妊娠前における常用薬の使用(OR0.11)、流産防止剤の使用(OR0.14)、妊娠中の魚類練製品(かまぼこ等)の摂取、ポリオの予防接種歴であった。前年の病院コントロ-ルの場合と比較してみると、病院コントロ-ルで有為に低いオッズ比を得た。喘息の既応、本人のX-P歴などが見られず、ポリオの接種歴も白血病ではみられなかった。共通して高いオッズ比の得られたのは、分娩時の臍帯巻絡、ペットの飼育、母の飲酒であった。父母の産業、職業による発がん因子とのクロス・リンケ-ジを今後、更に行う予定である。
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