研究概要 |
本研究の目的は, 都心にある事業所の従業員におけるスギ花粉症発生の実態を調べることにある. 全員に対し症状に関するアンケート調査を行うと同時に, 全員から採血し血中のスギ花粉症特異IgE抗体濃度を測定し, アンケートの結果と血清検査の結果を照合することによって(1)IgE抗体濃度と症状との関係(2)症状がなく抗体も陰性のもの, および症状がないが抗体陽性のものに注目して, 今後彼らの症状およべ血中IgE抗体濃度の動きがどうなるかを追跡する. 都内T事業所30歳以下の1312名(集団T1), 同事業所の平均52歳の530名(集団T2), 都内M事業所の平均50歳の499名(集団M)を対象して, 血中特異IgE抗体は蛍光測定ELISA(酵素免疫吸着法)により, 得られた蛍光単位にしたがって, 抗価濃度を0,1,2,3のランクに分類した. 抗体値のランク別に症状の保有率をみると, T1では0:12.4%, 1:34.5%, 2+3:59.8%; T2では0:9.1%, 1:37.5%, 2+3:61.1%; Mでは0:15.3%, 1:41.5%, 2+3:70.2%であった. つまり抗体濃度の高いほど有症率が高くなることが認められた. この血清検体は冷凍保存してあり, 63年採血予定のT1集団の血清と比較する予定である.
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