研究概要 |
1.可燃性物質分析のためのガスクロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィー・質量分析法の分析条件(定性および定量条件)の検討について. 上記両分析法において, 最も事故頻度の高いガソリン, 灯油の成分について, 3種類の充填カラムを用い, 一定温度で同時に再現性良好な定性および定量条件が確立された. 一般に経験される事例では, ガソリン・灯油等の蒸気成分が大量に体組織中に侵入することは稀で, ガスクロマトグラフィーのみでは成分検出が不可能な場合でも, 本法を用いたガスクロマトグラフィー・質量分析法によって超微量まで十分に検出可能となった. 定量では, 混合可燃性物質の各成分のすべてにわたって行なうことは不可能であり, 従って種々の関点から, 個々の可燃性物質の指標となる数種の物質を選択し, 定量分析を行なうこととした. 2.試料調整法(気化平衡法あるいは溶媒抽出法など)の検討について. 一般に揮発性物質の分析には, 気化平衡法で使用されている. 実際にガソリン分析については, この気化平衡法のみでもその特徴的物質を検出することは可能であるが, 灯油分析については, 灯油がガソリンに比し, 高沸点物質を多数含んでいるため, 気化平衡法のみでは分析に際し, しばしば限界が生じる. そこで, すべての試料の一部をいったん気化平衡法を用いて分析し出現した物質について定性および定量を行った後, 残りの試料をさらに有機溶媒抽出し, 高沸点物質をも定性, 定量するという2段階分析法を試みた. この分析法によって, 混合可燃性物質の各成分が, 低沸点から高沸点物質に至るまでの広い範囲にわたって検出, 把握でき, ガソリン, 灯油の異同鑑別を含めた総括的分析が可能になった. 今後, 実験動物を用いて, 上記の分析法および試料調整法の適応性について検討する予定である.
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