研究課題/領域番号 |
62570272
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松沢 茂隆 順天堂大学, 医学部・法医学, 教授 (90052969)
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研究分担者 |
鈴木 裕子 順天堂大学, 医学部・法医学, 助手 (60187755)
木村 博子 順天堂大学, 医学部・法医学, 講師 (00053299)
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キーワード | 血液型 / 免疫測定 / 赤血球凝集反応 / 個人識別 / 血痕検査 / 唾液 / 尿 |
研究概要 |
前年度までの研究で、「面積測定定量血球凝集反応」を解離試験に応用し、血痕、唾液斑、毛髪、爪、ホルマリン固定臓器などの法医学的試科からのABO式血液型判定成績を著しく鋭敏にすることができた。本年度はこの方法を血痕、または体液斑のMN式、Rh式、Lewis式、P式判定に応用する方法を検討した。 1.MN式血液型判定には特異性と力価が高いモノクローン抗体を使用すると、実験室内に18カ月保存した微少血痕(乾燥重量0.4mg)からMN式血液型を正確に判定できた。 2.Rh式血液型判定には、ヒト由来Rh式血液型判定用抗血清を用い、指示血球にはパパイン処理グルタルアルデヒド固定血球を加える手技を用いた。この方法により、実験室内に18カ月放置した乾燥重量1.1mgの血痕からC、c、DまたはE抗原を検出できた。e抗原は6〜11カ月まで検出可能であった。 3.Lewis式血液型判定にはモノクローナル抗Le^a、抗Le^b血清とパパイン処理グルタルアルデヒド固定血球を用いた。血痕では0.4mg、唾液斑痕では0.1mg、尿斑痕では1.8mgあればLewis式血液型を判定できた。 4.P式血液型判定では血痕量0.13mg、保存期間8カ月まで判定可能であった。 これらの血液型判定には、いずれも指示血球として長期間保存が可能な固定血球を使用するため、入手困難な稀な血液型の血球を常備でき、高い被凝集性を保持できることから正確で再現性の良い判定が可能になった。また抗体検出の感度が優れているため血球表面の抗原密度が低いRh式やMN式血液型判定に適していた。また抗原量に個人差の著しいLewis式やP式の判定にも、斑痕中の血液型抗原量の量的関係を数値として示しうる利点があった。
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