研究概要 |
中国本土在住の漢民族(8集団)および少数民族(12集団)について、ビタミンD結合タンパクとして知られるGc(BDP)、タンパク分解酵素の働きを抑えるPiおよびα2HSなどの血清タンパクの遺伝多型を検索するのが本研究の主題である。今年度はTf型、Pi型およびα2HS型を、漢民族および少数民族の血清資料について検索を行い次の成果を得た。Tf型についてはTfC1,C2,C3およびB,D遺伝子が、Pi型についてはM1,M2,M3および変異遺伝子が、α2HS型については1,2および変異遺伝子が、見出された。TfC1遺伝子を主として述べると、検査の可能な範囲ではツングース族の0.883を最高に、回族の0.670を最低とするが、漢民族および少数民族を通じて全般に高い値を示す。変異型ではD遺伝子は低い値ながら殆ど全集団にみられるが、B遺伝子は更に低い頻度でウイグル族、チワン族、チベット族で見出されている。Pi型ではM1遺伝子についてオロチョンの0.819を最高とし、チワン族の0.680を最低としての範囲内にある。この遺伝子についても際立った差異を示さない。殆ど全集団に少数ながら変異型が認められた。α2HS型では1遺伝子はメオ族の0.835を最高に、オロチョン族の0.523を最低として全ての集団はこの範囲におさまる。漢民族と少数民族との間には遺伝子頻度について明らかな差異は認められない。
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