研究概要 |
1.Tリンパ球表面HLA抗原の増加率の型依存性の分析. HLA-AとBに関してヘテロザイゴスな正常人18名のTリンパ球をPHAで刺激し72時間培養した. 12時間毎に培養リンパ球を取り出しHLAアロ抗体とFITC標識抗ヒトIgG抗体に反応させた. フローサイトメトリーを用い表面HLA抗原量を比較定量した. 結果:(1)表面抗原量が最大になる時点の範囲は刺激後24-72時間であった. (2)一つのハプロタイプを構成するHLA-AとBの間で表面抗原量が最大になる時点が有意に異なる場合が36ハプロタイプ中6例認められた. (3)ハプロタイプを共有する兄弟においてそのハプロタイプを構成するHLA抗原の増加曲線は同一でない場合があった. 結論:T細胞の活性時において同一染色体上の二つの近接した遺伝子にコードされている抗原, すなわちハプロタイプを構成する二つのHLA抗原が細胞表面に出現する時, これらは独立に制御を受ける. もし, この制御が遺伝子産物によって支配されるなら, それはHLA-AとBの間にコードされていないと思われる. この制御と自己免疫疾患の関係は今後検討される. 2.増殖因子レセプター遺伝子型解析. 遺伝子型はRFLP(resryiction fragment length polymorphism)によって決定された. すなわち, 正常および自己免疫疾患の白血球よりDNAを抽出し, 制限酵素で切断し, サザンブロットメンブレンを作った. このメンブレンにクローン化されたレセプター遺伝子(cDNA)のハイブリダイゼイションを行い, DNAフラグメントのサイズを観察した. 結果:(1)制限酵素で切断したDNAとハイブリダイズしたレセプター遺伝子cDNAが多型性を示したのは, 46種の制限酵素のうち19種の酵素を用いたときであった. (2)レセプター遺伝子の型は少なくとも4種存在する. 結論:多型性を示す事より増殖因子レセプターは機能を発現する時アロ特異性を示すと思われる.
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