(結果)1.正常人Tリンパ細胞の表面HLA抗原量の増加は活性化後24-72時間で最大となる。他の分化抗原は増加しない。活性化時においてハプロタイプを構成する二つのHLA抗原が細胞表面に出現する時、これらは独立に制御される。活性化による抗原増加率とHLA型との相関は認められない。 2.正常人、全身製造業エリテマトーデス(SLE)および慢性関節リウマチ(RA)において、増殖因子レセプター(BL抗原)の遺伝子多形性は3種類認められた。この遺伝はメンデルの法則に従う。ある一種の遺伝子型は、SLEにおいて認められず、RAでは増加していた。インスリン依存性糖尿病(IDDM)においては正常人には無い型が認められた。 3.増殖因子をコードし、且つ多形性を有する癌遺伝子(c-sis)の血管内皮細胞における遺伝子発現は、IL-1とLPSで増強され、γインターフェロン(IFN)で抑制される。 (考案)Tリンパ細胞は活性化によりγIFNなどの因子(リンフォカイン)を産生する以外に、早期に特異的に表面HLA抗原量を増加させ、免疫反応において重要な働きをすることが示された。BL抗原遺伝子はSLEの発症を妨げ、RAの発症を促進し、IDDMの発症に関与する可能性か示された。BL抗原とHLA抗原において共通で、且つ他の表面抗原に認められない点は、多形性を有し、その型と自己免疫疾患が相関を示すことである。HLA抗原は型の相違以外にも表面抗原量の差によって機能が異なる事が示されたが、BL抗原に関しては未知である。血管内皮細胞においてγIFNは増殖因子遺伝子(c-sis)の発現を抑制することが示され、多くの自己免疫疾患において血管内皮細胞に病変が認められるが、c-sisの多形性と自己免疫疾患との関連の解明は為されていない。今後、自己免疫疾患において、これらの3種の物質の型と量を同時に検討し、自己免疫疾患の発病のメカニズムおよび治療の解明に役立てたいと考えている。
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