研究課題/領域番号 |
62570300
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
堺 秀人 東海大学, 医学部・内科学第七教室, 教授 (80102846)
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研究分担者 |
須賀 孝夫 東海大学, 医学部・内科学第七教室, 助手 (50187621)
遠藤 正之 東海大学, 医学部・内科学第七教室, 講師 (10147134)
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キーワード | IgA腎症 / スイッチT細胞 / T_<α4>細胞 / IgA産生 |
研究概要 |
昨年度に引続いて、IgA腎症患者における末梢血中のIgA特異的スイッチT細胞であるT_<α4>細胞の機能について解析を行った。本年度は、T_<α4>細胞の機能が生体内におけるIgA主体の免疫複合体によってどのように修飾されるかを検討するために、当該細胞に対する凝集IgAの作用を分析した。すなわち、昨年度において確立したT_<α4>細胞とsIgMーB細胞の至適濃度をもととして、これに種々な濃度のヒト骨髄腫IgA(IgA1ーλ)を熱凝集させたものを添加して、T_<α4>細胞がsIgMーB細胞をsIgAーB細胞に転換させる上での効率に及ぼす影響を、螢光顕微鏡およびフローサイトメトリー(FACSTAR)を用いて測定した。さらに、本症患者の血清と、同年令の健常成人血清と平行して、上記の細胞培養系へ添加し、T_<α4>細胞のIgA特異的スイッチ作用に与える影響を同様の方法で測定した。その結果、T_<α4>細胞は、患者および健常成人由来のどちらもが、凝集IgAの添加に伴って、従量的にIgA特異的スイッチ作用を減少させ、約800μg/mlのIgA濃度でその作用が消失した。また健常成人血清と比較して、患者血清、特にIgA高値の血清には、T_<α4>細胞のIgA特異的スイッチ作用を抑制させる効果が有意に著明に認められた。これらの成績から、T_<α4>細胞の機能は周囲のIgA濃度によってコントロールされていることが示され、IgA濃度が低下するとIgA産生が亢進し、逆にIgA伸度が増加するとIgA産生が低下するものと思われた。以上の成績の一部は昭和63年11月第31回日本腎臓学会総会シンポジウムに発表を行い、さらにその後の進展については平成元年九月の第4回アジア太平洋腎臓会議でのシンポジウムに発表予定である。昭和64年(平成元年)度は、当初からの研究計画に基づき、本症患者の家族において今年度と同様の検討を行う予定である。
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