ヒト末梢血単核球をNADPH産生系及び実験動物肝ミクロソーム分画の存在下に各種薬物と反応させ、薬物の中間代謝産物による単核球の障害度から個体の薬物への感受性を評価すべく検討をすすめているが、今年度はマロチレートに関する検討を行い、マロチレートの毒性について1)代謝産物の役割が重要なこと、2)マロチレートによる肝障害が強く行われた4症例では患者末梢血単核球のマロチレート代謝産物による障害度は対照に比し著明に高く、本法がマロチレートによる薬物性肝障害のin vitro診断に役立て得ると考えられた。さらに症例を増大して確認する予定である。さらに本法をハローセン肝障害の診断に役立てるべく検討をすすめているが、今年度は準備段階としてラットにおけるハローセン肝障害がすでに肝障害を有する例においていかに発現するかについての基礎的検討を行った。従来より肝障害時のハローセン麻酔は禁忌と考えられているが、薬物代謝系活性の低下している肝障害時にはハローセンの毒性代謝産物の産生量が減少し、むしろハローセン肝障害が出現しにくい場合もあることが確かめられた。ハローセンの中間代謝産物とヒト末梢血単核球を双応させハローセン肝障害の診断に役立つか否か検討中である。
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