研究概要 |
B型感尖ウイルス(HBV)感染者血清中にはIgA型HBC抗体が存在し、HBVキャリアーでは無症候性キャリアーから慢性肝炎、肝硬変と肝障害が進展するにつれIgA型HBC抗体が高力価になることを報告してきた。特に慢性肝障害者の急性増悪期と寛解期のIgA型HBC抗体を比較検討すると、IgA_2型HBC抗体とsIgA型HBC抗体でその差が著名であった。 急性増悪期と寛解期血清をHPLCで分画して分子性状を検討すると、IgA型HBC抗体活性はpolymeric form,monomeric formの両型で存在し、特に急性増悪期ではおもにpolymenc formで上昇していた。即ちB型慢性肝障害患者でも増悪期と安定化した時期とではHBC抗原刺激の強さの問題等で免疫応答の主体が異なる可能性があり、それにともなってIgA型HBC抗体の分子性状が変化したと考えられ、p-IgAHBC抗体は急性増悪時より著名に上昇し、寛解期になるとより早く低下して、寛解増悪を繰り返し増悪期に近ければp-IgAHBC抗体が多く存在するが、寛解期が長く安定化した時期であればこの時期での採血はm-IgA型HBC抗体が主体になると考えられた。 又B型慢性肝障害患者胆汁中にはIgA型HBC抗体が存在し、胆汁中では血清中に比べてp-IgA型HBC抗体に強く活性を認めた。これらのうち胆汁中ではIgA型HBC抗体はsIgA型HBC抗体として多く存在し、これらの抗体も胆管上皮細胞よりsc-mediated transport mechanismを介して胆汁中に分泌されたものと考えられた。
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