研究課題/領域番号 |
62570324
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
猪川 嗣朗 , 医学部附属ステロイド医学研究施設・化学部門, 教授 (70032183)
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研究分担者 |
武良 哲雄 , 医学部附属ステロイド医学研究施設・化学部門, 講師 (80093631)
三宅 真里子 , 医学部附属ステロイド医学研究施設・化学部門, 助手 (20135883)
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キーワード | 初代培養肝細胞 / 細胞密度依存性 / 細胞分化能と胆汁酸抱合能 / 毛細胆管の再生機構 / cell surtace modcelator / 肝細胞の組織化と機能 |
研究概要 |
再生肝は手術後5〜8時間でDNA合成は最高に達し、24時間後に減少する事が報告されているので、この時期の分離肝細胞を化学発癌剤の共存下で培養し、前癌化モデルの作成を検討中である。一方、ホルモン等による遠隔組織間の情報伝達機構とは別に、細胞間相互作用による局所的伝達機構が細胞の増殖、分化、組織形成および再生等に関与するといわれている。そこで、初代培養肝細胞の細胞密度を高密度(HCD)と低密度(LCD)にし、両者の胆汁酸動態を指標に細胞機構を比較した。(1)DNA量当りの総胆汁酸量には大きな差は認められないが、HCDではタウリン抱合型胆汁酸(T)に対するグリシン抱合型胆汁酸(G)の比(T/G)は培養24時間以降では約8であるのに対し、LCDでは培養経過と共にTの減少を認め約2となった。この様な比を示すLCDの培養細胞に、肝細胞膜から調製した膜蛋白質(CSM)を添加して細胞間の接触を密にすると、その添加量に依存してHCDのT/G比を示した。(2)LCDにCSMを添加培養すると5′-Nase、AlPおよびNa^+,K^+-ATPase活性も上昇するが、Ca^<2+>-freeの培養液中では認められなかった。またCSM添加後の細胞に〔^3H〕グルコサミンを添加すると、培養時間の経過と共にその取り込み量が増加した。(3)培養肝細胞の生存は通常3〜4日間であるが、ニコチン酸アミド(5mM)共存下では7〜10日間と延長するが、LCD単独では効果がなくCSMの存在が必要であった。これらの酵素誘導はシクロヘキシミド等の添加により阻害されるので蛋白質合成を介して行われ、おそらく遺伝子の転写促進による事が考えられる。また、胆汁酸抱合化および酵素誘導の結果から、毛細胆管を形成する機能蛋白質の遺伝子群は肝小葉を破壊し、脱組織化状態にすると停止し、CSM等の添加によりcell-cell contactが促進されて組織化状態になると回復するのではないかと推察され、今後さらに検討する必要がある。
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