研究概要 |
ヒト胆汁抗原を家兎に免疫し, ヒト胆管上皮抗原に対する特異抗血清を得た. 抗体の特異性はマイクロオクタロニー法, 各種臓器に対する酵素抗体法, 免疫電顕にて確認した. 原発性胆汁性肝硬変(PBC)では血清中に胆管上皮抗原・抗体免疫複合物が症例の30%に検出される事を抗胆管上皮抗原抗体を用いたELISA法で明らかにした. 測定法の特異性は胆管上皮抗原によるブロッキングテストで確認した. 従ってPBCの病態には胆管上皮抗原に対する液性免疫が成立しており, 本症における自己免疫の関与が示唆された. PBCで種々の免疫調節異常が認められ, 末梢単核球のインターロイキン1, インターロイキン2の産生低下も存在する. しかしPBCの末梢血マクロファージを胆汁抗原免疫複合物で刺激することにより, 健常者に比しインターロイキン1の産生亢進が認められた. PBCの傷害胆管周囲のマクロファージ内に免疫組織学的手法により胆汁抗原免疫複合体が検出される所見と併せて, 特異抗原免疫複合物刺激でのインターロイキン1産生亢進は傷害胆管の局所的な免疫反応の増強に関連した現象と考え, 検討中である. 現在PBCにおける胆管上皮細胞に対するcyto taxic Tリンパ球活性の測定系をほぼ確立することが出来ている.
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