1988 年度実績報告書

胃、結腸癌における特異的染色体異常の検出と癌の進展に果たす染色体異常の役割

研究課題

研究課題/領域番号	62570333
研究機関	京都府立医科大学
研究代表者	三澤信一京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40117908)
キーワード	Chromosomes / Human / Gastric cancer / cancerous effusion
研究概要	癌性体腔液を用いて胃癌症例6例において核型を分析した。胃癌の原発巣における組織診断はいずれもadenocarcinomaで、この中4例はsignet ring typeであった。材料は細胞診において悪性細胞の存在を確認した腹水5例、胸水1例を用いた。採取した胸あるいは腹水は遠沈した後、buffy coatをRPMI 1640培地にて直接法あるいは短期培養し、染色体材料を作製、トリプシン分染法を用いて分析した。核型が決定された6例の臨床所見を以下の表にまとめた。染色体数のモードは4例が49ー53(hyperdiploid)で、1例が80(hyopoーtetraploid)、さらに1例では5nー6n域に分布しておりモードは決められなかった。見出された染色体異常として、数の異常ではNO.s7,8,13番染色体の過剰が複数例にみられ、また構造異常ではNO.3染色体長腕、およびNO.9染色体短腕の異常がそれぞれ2例に認められたが、これらの異常が胃癌に特異的な染色体異常であるかどうかについては今後症例数を増して検討したい。

[文献書誌] Meakawa,T.;Misawa,S.,et al.: Cancer Genetics and Cytogenetics. 34. 261-263 (1988)
[文献書誌] Horiike,S.;Misawa,S.,et al.: Cancer. 62. 1129-1138 (1988)
[文献書誌] Misawa,S.,et al.: Leukemia Research. 12. 719-729 (1988)
[文献書誌] Nishigaki,H.;Misawa,S.;et al.: Japanese Journal of Human Genetics. 33. 417-421 (1988)
[文献書誌] Taniwaki,M.;Misawa,S.,et al.: Cancer.
[文献書誌] Nishida,K.;Misawa,S.,et al.: Cancer Research.
[文献書誌] Horiike,S.;Misawa,S.;Taniwaki,M.;Takino,T.Abe,T.: "Myelodysplastic Syndrome:Pathophysiology and Treatment" Uchuno,H.;Takaku,F.;Yoshida,Y., 49 (1988)