研究概要 |
ラット肝よりSDSーPAGEおよびcephalose cdumnを用いて分離,精製したactinを家兔に免疫し, 抗actin抗体を作製した. 肝細胞内のactinの局在を証明する目的で正常Wistar系ラット肝末固定凍結クリオスタット6μ切片を作製し, 抗actin抗体を用いた螢光抗体間接法により観察すると, 肝細胞形質膜直下に沿って特異螢光がpolygonal patternを呈した. これは肝細胞膜と密接して肝細胞内にactin収縮蛋白が存在することを裏付けるものと考えられた. 特に毛細胆管(BC)に一致して強い特異螢光がみられ, actinがBC周囲に特に豊富に存在した. 電子顕微鏡学的にactin filaments(AF)の局在をuranyl acetateブロック染色を施した標本で観察すると, BCの全周を取り巻いて直経50ー70〓のAFが網工を形成しているのが認められ, tight junctionからdesmosomeにかけてその網工は特に密であった. 一部の線維は微絨毛内に伸展し, その先端はBC膜に密接していた. アンチモネート・オスミウム酸法によりCaの局在を示す高電子密度の顆粒は, 比較的大きな粗大顆粒と微小顆粒の2種類が認められた. 粗大顆粒は肝細胞質内およびBC腔内に散見され, 微小顆粒は細胞質内小胞や空胞内に認められ, ミトコンドリア内ではミトコンドリア顕粒にほぼ一致して観察された. これらの顆粒内に高濃度のCaを含有することがX線微小分析法により証明された. カルモデュリンの局在は, 螢光抗体間接法により肝細胞形質膜およびその直下, 特にBC膜およびその周囲の細胞質内に認められた. Ca-Mg-ATPaseの局在は, Wachstein&Meisel変法により超微形態学的にもBC膜に限局して認められた. Jeejeebhoy変法により分離した初代単層培養肝細胞のBCはリズミカルな収縮性を有し, actin, カルモデュリン, Caの局在はinvivoと同様であった. 原発性胆汁性肝硬変患者の生検肝組織の未固定凍結クリオスタット切片に抗HLA-DR2抗体を用いた酵素抗体間接法を施すと, 胆管上皮細胞の存在部位に一致してペルオキシダーゼ陽性反応が認められた.
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