A)血小板の活性化に関して:末梢血より、若干の白血球が混入した状態で血小板を採取し、特異抗原で刺激すると、化学発光が認められた。しかし、完全に血小板のみを採取し、特異抗原で刺激したところ化学発光は起きなかった。そこでIgEでこの血小板を処理した後anti-IgEで刺激してみたが、化学発光は起こらなかった。 B)末梢抗酸球の活性化に関して:ハウスダストならびにダニ抗原に感作された喘息患者より末梢血を採取し、Percoll discontinuous graident法で好酸球(純度90%以上)を得、特異抗原で刺激したが、化学発光は起こらなかった。 C)モルモット腹腔好酸球について:腹腔内に馬血清2mlを一週間毎に9回注入した後、再度馬血清を2ml腹腔内注入し、その48時間後に生理食塩水で腹腔内を洗浄して得られた細胞浮遊液からPercoll discontinuous graident法で純度95%精製された好酸球である。この好酸球はCa ionophore A23187やPhorbol miristate acetate刺激で化学発光を示したが、馬血清では化学発光を示さなかった。この好酸球にIgE溶液とanti-IgEを加えたところ化学発光を示し、その反応は好酸球の数に応じて増加した。この好酸球はleukotriene B4やplatelet activating factorに遊走反応を示した。この好酸球をcarcitonin gene related peptideやneurokinin A、substance Pが遊走させることを証明した。この好酸球を用いることにより、人末梢血中の好酸球遊走活性能を常に測定できるようになり、その結果抗原吸入による気道収縮反応前後で血清中の好酸球遊走活性能が上昇することを確認した。さらに、この反応がbeta2-交感神経刺激剤であるフェノテロールの吸入により抑制されること、すなわちbeta2-交感刺激剤が人体中でも抗アレルギー作用を示すことを確認した。Ca ionophore A23187でこの好酸球を刺激した上清がモルモット気管平滑筋のヒスタミンに対する収縮反応を有意に上昇させた。
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