研究概要 |
気道分泌の主要な役割をはたす粘膜下腺を私共が従来報告している方法(J Appl Physiol GO,1986)に従い単離し次の検索を行った。 1)単離粘膜下腺からの〔3H〕でラベルされた粘液糖蛋白質の分泌反応は気道上皮の存在下で抑制され気道上皮由来分泌抑制因子が見い出された。この因子はアラキドン酸代謝産物とは異なるものでその活性は短時間に消失する性質を有する(J Appl Physiol 66,1989)。 2)気道粘膜間のactive ion transportを表すPotential Difference(PD)及びShort Circuit Current(SCC)の検索からコリナージック及びα-アドレナージック刺激剤による反応は粘膜下腺の数及び密度と関連した(Respiration Physiology,submitted)。 3)酵素処理として得られた腺房細胞を用いたPatch Clump法により細胞膜にCa^<++>-dependent large conductance K-channel及びCl-channelが見い出されている。(Am Rev Respir Dis,in press,1989)。 4)単離粘膜下腺からの^<22>Naの流い出し曲線から分泌細胞膜のNa/K pump活性を測定し、これがフリナージック及びα-アドレナージックな刺激でその活性が増加した。また、神経刺激によってもその活性は上昇し、副交感神経及びα-受容体を介した交感神経支配を受けているが判明した(Am J Physiol,submited)。2)及び3)の所見と合わせて粘膜下腺を通してActive Ion Transport及び水分分泌が行われていることが示された。 5)しかし、単離した導管及び導管を有する粘膜下腺とほとんど有しないものとの対比から、現在のところ、導管部にNa.再吸収能がある所見は得られていない。 6)その他、ステロイドの直接的分泌抑制効果及びPAFの分泌亢進の機序解明を行った(Am Rev Respor Dis&Am J Physiol,submitted)。
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