研究概要 |
(1)ダニ感作モルモットにおける抗ダニ抗体と喘息発症との関係 モルモットを4群に分け(各10〜15匹), ダニ蛋白1, 10, 100, 1,000μgをアラムと共に腹腔内に4週おきに4回注射した. 1回目のみ注射26日目にサプレッサーT細胞の機能を低下させ, IgE抗体産生を増強させるサイクロフォスファマイドを注射した. 各免疫注射1〜2週間後に採血し, IgE-, IgG1-, IgG2抗体をPCAまたはELISAで測定した. 最後免疫後1週間目にダニによる吸入誘発をおこなった. 1μg, 10μgのダニ感作群では抗体価はいづれも低値であったが100, 1,000μgのダニ感作群では両群とも同程度の高いIgE抗体価が認められた. 吸入による喘息発症とIgE抗体価との関係は明瞭ではなかったがIgE/IgG2抗体比の高い群に喘息発症がみられた. すなわちIgG2抗体は喘息発症を抑制する作用があると思われ, 減感作療法作用機序を示唆する結果を得た. (2)ダニ感作モルモットにおける2相性反応 ダニで免疫したモルモット(上記)にダニを吸入させると即時型喘息反応を示すが人の喘息患者にダニを吸入させた時にみられる遅発型喘息反応は認められなかった. そこでステロイドに対する拮抗剤のメトピロンをダニ吸入前に投与した所, 遅発型反応が観察され, 遅発型反応における炎症細胞の関与が示唆された. (3)経口減感作療法 卵白アルブミンで吸入感作し, 吸入によって喘息が発症する事を確かめた18匹のモルモットを6匹づつ3群に分け第1群は生食のみ第2群は卵白アルブミン10mg/匹, 第3群は100mg/匹を2週間経口投与し, 7日後, 12日後に卵白アルブミンで吸入誘発した. 100mg投与群は生食群に比し.呼吸抵抗増加率は有意に低く, 経口減感作は有効であった. 予備実験ではダニ喘息でも有効で, 更に追及中である.
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