研究概要 |
パラインフルエンザウイルスの中で, 4型(subtypeA,Bがあり, pa-4A,pa-4Bと略す)は増殖が良くない為, 基礎ウイルス学的解析が遅れ, 感染の実態も明らかでない. 今回pa-4A,4Bに対するモノクローナル抗体(MAb)を作製し, またニホンザルを用いて感染モデルを作製し, 抗体応答について検討した. ウイルスはpa-4A,4B, 細胞はLLCMK_2及び初代サル腎細胞を用いた. MAbはBALB/Cマウスを用いて作製した. 感染モデルはニホンザル7匹にネブライザーで鼻粘膜にウイルスを感染させ, 抗体応答について調べた. 1)MAbについて (a)pa-4A特異的クローンが得られ, その中にNp抗体が10個近く得られた. 中和, HI活性を有する物(抗HN)があり, これを用いて初めてpa-4AのHN蛋白を同定した. また中和活性有, HI無の物もあり, 抗HN又は抗Fと考えられる. pa-4B特異的クローンも得られ, 現在同定中である. 2)感染モデルについて (a)ELISA法によるPa-4Aに対する抗体の解析を行ない, 血清中にIgG抗体が2週目から上昇し, 10週目の再感染でブースター効果が認められたが, IgM抗体は2週目にピークとなり, ブースター効果は認められなかった. IgA,E抗体は血清中には認められなかったが, 唾液, 鼻粘膜ぬぐい液中に2週目をピークとして認められた. 中和抗体, HI抗体はIgGの動きにパラレルであった. (b)免疫沈降法によりウイルス蛋白に対する抗体を調べると, Npに対する抗体が2週目から認められ, 再感染後の12〜13週にピークとなり, HNについても同様であったが, Fについては2週目で出現後いったん消失し再感染後認められた. この結果はムンプスウイルスの場合に似ていた. (c)pa-4Bについては, 感染血清等の採取が終了し, 現在解析を進めている.
|