研究概要 |
目的 パラインフルエンザウイルスは1〜4型に分けられ、4型はさらに4A型4B型に分けることができる。4A型(PIVー4A)、4B型(PIVー4B)は増殖が良くない為、解析が遅れている。今回、PIVー4A,PIVー4Bのウイルス学的、免疫学的相異性の解析の目的で、ウイルス特異的モノクローナル抗体(MAb)を各々50、30クローン作製し、構成蛋白質の同定、および免疫学的交差性の解析を行った。 材料と方法 MAbはBALB/Uマウスを用い、PIVー4A(Mー25株)、PIVー4B(68ー333株)を免疫原として作製した。構成蛋白質の同定は免疫沈降法、免疫学的交差性は、ELISA法、中和反応はHad法により解析した。 成績 1.得られたMAbはPIVー4AのHN、NP、F、M、PIVー4BのHN、NP、Fに対するものであった。 2.PIVー4Aの構成蛋白質の分子量はSDSーPAGEによりHN:72K、NP:61K、Fo:61K、F_1:53K、47K、M:40K、PIVー4Bでは、HN:72K、NP:65K、Fo:65K,Fi:55K、M:40Kであった。 3.MAbは各々数個〜9個のエピトープに分けられたが、各エピトープ、生物学的活性(中和、HI、HLI)、免疫学的交差性はよく相関した。 4.MAbを用いて免疫学的交差性の解析を行うと、PIVー4Aの異株間では、HN、NP、Fのすべてに、またMの81%に交差が認められ、PIVー4Bの異株間ではHNの86%、NP、Fのすべてに交差が認められた。PIVー4A、PIVー4B間では、NPで交差がよく認められたが、HN、F、Mについては交差のあるクローンは比較的少なかった。PIVー2、mumpsvirus、SV5とは若干交差を有したが、PIVー1,3、measlesvirus、NDVとは全く交差が認められなかった。
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