研究課題/領域番号 |
62570352
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
近藤 哲理 東海大学, 医学部, 講師 (90147132)
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研究分担者 |
宮入 朗 東海大学, 医学部, 助手 (30200116)
太田 保世 東海大学, 医学部, 教授 (90055939)
山林 一 東海大学, 医学部, 教授 (60055697)
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キーワード | 努力呼出 / 呼息筋 / 気道閉塞 / 筋電図 |
研究概要 |
本年度はヒトを対象として努力呼出時の呼息筋活動を解析した。呼吸流量肋間筋(IC)・外腹斜筋(EO)・内腹斜筋(IO)筋電図を測定した。精度を高めるために今年度はアナログフィルター(24dB/oct)と、周波数特性(2.8kHz)のよいチャート式レコーダーを筋電図解析に併用した。努力呼出時のFlow筋電図ともに再現性は良好で、各筋肉の活動はflowの減少と共に低下し、taper型とhill型に分類された。ICは7/9がtaper型、IOは4/6がhill型、EOは8/11がtaper型を呈した。努力呼出の連続試行はフローボリューム曲線呼息筋活動、筋電図の高周波・低周波成分比に有意な変化を与えなかった。努力呼出中に呼気回路の一時的狭窄を行うと、狭窄後に筋肉活動は一過性に低下し、この潜時はEOで61.5ー100.0msec、IOで61.5ー106.5msec、ICで58.0ー92.3msecで、同一被験者で各呼吸筋での値は近かった。回路の一過性狭窄時に胸腔内圧は軽度上昇したが口腔内圧上昇は高度で、再開放によりゼロに回復した。逆に、回路の狭窄ー開放ー狭窄実験をも行なったが、被験者の反応には、behavioralな要素が多いと判断した。4%キシロカインのエアロゾル吸入を用いた気道麻酔は潜時に有意な変化を与えなかった。結論:努力呼出時の呼息筋の活動には筋固有のパターンが存在し、努力呼出のような随意的な動作でも呼吸筋の活動型は予め決定されている。また、努力呼出の連続試行は呼吸筋疲労をきたさない。回路狭窄に基づく筋への抑制的な制御は各筋で同一の経路を介し、脊髄より上位での反射あるいは脊髄レベルでの多シナプス性の経路を考えるべきである。この反応には肋間筋内の受容器よりは、口腔あるいは上気道の受容器が関与している可能性が高い。慢性閉塞性肺疾患患者の解析に至らなかった点が反省される。
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