研究概要 |
〔対象と方法〕(1)単純ヘルペス脳炎剖検凍結脳を用いて, 免疫組織化学法によりHSV-1抗原, in sitaハイブリダィゼーション法によりウイルスRNAの同時検出を行った. (2)パラフィン包理ヘルペス脳炎でも同様にHSV-1と核酸の同時検出を行った. (3)ヘルペス潜伏感染モデルマウスをもついてin situハイブリダィゼーション法により, ウイルス核酸の検出を行い, その病態を検索した. プローベとして^3H標識したものを用いたが, cDNAはch入4aD(ECORI-D), whole genome, PRB/03などを用い, 抗原と核酸の同時検出法はBrahic Metal(PNAS 1983)に従った. HSV-1抗原の検出はgDに対するモノクロナール抗体およびウサギを免疫して得られた抗血清を用い, Agc法により検出した. 〔結果}(1)ヘルペス脳炎凍結脳内には茶褐色のDABを細胞資内に有する抗原陽性(A)細胞, 抗原および核上に銀粒子を有するmRNA陽性(AM)細胞, mRNA陽性(M)細胞が不規則に分布し, 感染細胞も神経細胞, グリア, 血管内皮細胞など種々であった. (2)パラフィン包理ヘルペス脳炎組織でも凍結脳と同様の結果が得られた. ヘルペス脳炎脳内ではHSV-1感染, 浸潤, 波及は急速であり, in vivoでは宿主の免疫材〓などにより, 種々の感染病像が形成されると考えられる. (3)ヘルペス感染マウス三又神経節内にRNA陽性細胞が多数検出された. 〔今後の研究〕初年度にヘルペス脳炎剖検脳でのHSV-1抗原と核酸を検出し, その病態を検討したが, 今後, 本法を用いて, マウス感染モデルを用いてHSV-1感染, 浸潤, 潜伏, 再燃材〓の研究を行う. さらにウサギを用いて急性ヘルペス脳炎を作成し, 経時的に髄流を採取し, 髄流細胞でのHSV-1感染病態とヘルペス脳炎の迅速診断法を検討する.
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